長年勤めた会社を退職した際に受け取る退職金ですが、当然課税対象の所得になります。
給与所得ではなく退職所得というカテゴリーに分けられて所得税や住民税が計算されます。


■とりあえず分離されて課税

退職金を受け取る際に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出すると、
所得税と住民税が源泉されて支給されます。
退職所得の計算方法は、退職金の支給額から退職所得控除額を差し引いた金額
に2分の1を乗じて求めた課税所得に、それぞれ所得税と住民税の税率を乗じれば、
源泉すべき税額が決まるようになっています。
税引き後の退職金を受け取って、一旦ここで退職金に関する税金の納付関係は終了します。

■所得税は戻るけど

退職金を受給した翌年は確定申告をされる方が多いはずです。
何故なら年の中途で退職した方の給与については年末調整されていないため、
各人が確定申告で所得税を精算する必要があるからです。
この際に退職所得も合わせて確定申告すると、税金が還付される場合があります。
確定申告した際に合計所得金額から所得控除を差し引きますが、引ききれない所得控除分があれば、
退職所得から控除できますので、退職金支給時に源泉徴収された所得税の一部又は全部が還付になります。
退職後に再就職した場合は再就職先で年末調整されますが、
年末調整した後の所得税がゼロであれば、給与所得より所得控除の方が大きいのでしょうから、
退職所得と給与所得を合算して申告すれば、還付金が発生するはずです。
また退職後に事業を開始して事業所得が発生し赤字になっている場合も、損益通算ができますので還付金が発生します。

■住民税はあくまで分離課税

退職時に源泉された所得税は還付になる場合はありますが、残念ながら住民税は還付になりません。
給与も含めた合計所得金額から控除できなかった扶養控除などの所得控除分があったとしても、
退職所得から控除することができませんので、退職した時点で差し引かれた住民税が戻ってくることはないのです。
住民税の場合、あくまでも分離課税を貫いているのが現状です。